インフルエンザB型は、インフルエンザの種類の中でも、A型に次いで流行性の高いインフルエンザウイルスです。
インフルエンザウイルスは、A型・B型・C型の3種類のインフルエンザウイルスに分類されていることはここまでに解説してきたとおりです。
季節性の毎年のように地域の病院などで流行が噂されるタイプはA型のインフルエンザウイルスです。
B型は毎年のように流行することはありませんが、やはり数年おきに登場し猛威を奮います。
C型のインフルエンザウイルスはあまり聞きなれないかもしれません。
これはC型の症状が通常のかぜと同程度であり流行性が低いウイルスであるためです。
稀に軽い流行が見られますが、一度免疫を獲得すると、ほぼ一生涯免疫が持続できる為、C型ウイルスが話題に登場することはあまりないのですね。
B型のウイルスはウイルスの表面を覆っている糖たんぱく質組織である表面抗原の突然変異のスパンが遅いという特徴もあります。
また感染経路も特定されております。
その為、体内の免疫組織が長期に渡って有効に活躍できる点もA型ウイルスとの明確な相違点と言えます。
~ポイントのまとめ~
★B型ウイルスは数年間隔で定期的に流行する傾向をもつ
★インフルエンザウイルスは3種類に分類される
★B型は抗原の突然変異が少ない
免疫細胞の持続期間について確認する前にわかりやすいようにまずB型インフルエンザのウイルスそのものの特徴について見ていきましょう。
B型ウイルスは我々人類、ヒトからヒトへの感染経路をもつウイルスとして確認されております。
A型との決定的な相違点はヒトからヒトへの感染経路しか確認されていない点です。
元々はA型もB型も同様のウイルスとして扱われておりましたが、この感染経路と表面抗原で分離されるようになりました。
B型ウイルスの自然宿主は現在確認されている範囲ではヒトだけ。逆に言えばヒトがいなければウイルスは増殖できないということですね。
このインフルエンザB型ウイルスの最大の特徴は、「表面抗原」が一定期間ごとに変化している点です。
ですから、新しいタイプのインフルエンザが発生すると、今までの免疫は当然働くことができません。
これは人体細胞の防衛器官でもある免疫システムの仕組みが大きく影響しております。
ウイルスは生活をしていく上で必要のないもの。免疫システムはこのようなものが体内に侵入すると「異物」と判断し体内から除去使用と働きます。
誰もがご存知の免疫システムの代表格は「白血球」ですね。
白血球を中心とした免疫システムはこのウイルスの侵入を確認するとすぐに出陣し敵を倒そうと働きます。
免疫システムの優れている点は、この戦いによって得られた相手の情報・データを記憶していく点にあります。
ですから一度戦った記憶のある敵が再度体内に侵入してきた際は、前回の戦いを記憶しているので効率良く相手を倒すことができるのです。
しかし、進入してきたウイルスが全く新しいタイプのウイルスの場合は、免疫システムははじめての敵との戦いである為に苦戦を強いられます。
相手のウイルスの情報源となる糖たんぱく質構造が変化してしまうと、免疫システムは新たな敵とみなし戦いを始めます。
その為、同じB型ウイルスであっても新しい型が登場した場合は感染前に敵の情報を仕入れるためにワクチンの予防接種を受ける必要性が出てくるのです。
但し、B型インフルエンザの抗原の変化スピードはインフルエンザA型と比較すると非常にゆっくりとなっております。
その為一度ワクチンの接種を受けると免疫は一定期間持続する傾向にあります。
B型ウイルスに関しては流行する前に予防接種の必要があるのは新しい型のウイルスと確認されたケースです。
ですから免疫細胞はウイルスの変異が確認される期間まで持続して有効に働くということがわかります。
尚、C型インフルエンザの免疫は抗原がほぼ変化することは無い為、通常は一生涯持続します。
~ポイントのまとめ~
★ウイルスの変異が起きるまで免疫細胞は有効
★免疫システムのボスは白血球
★ワクチンの予防接種は必要
毎年のようにインフルエンザ流行の話題がTVニュースで放送されます。
この流行の噂が流れ始めるのはほぼ決まって秋口~初冬にかけての期間ですね。
インフルエンザの特徴は冬場~春先に大流行するという傾向が見られます。
冬場に差し掛かった段階でインフルエンザ独特の症状が確認される場合は注意が必要です。
またB型ウイルスの場合は、毎年の季節性インフルエンザ(A型)の流行が終わった直後の2月~3月にかけて流行するケースもあるので冬の季節が終わりかけてもやはり気が抜けません。
その為、A型ウイルスとB型ウイルスの予防接種は全く異なるものと認識しておく必要もあります。(⇒予防接種の年間計画の項参照)
ではB型インフルエンザの症状の特徴について見ていきましょう。
B型インフルエンザの症状は、一般的な風邪症状と非常に似ている点が多くあります。
季節的に冬に風邪症状が見られる場合は念のためインフルエンザの可能性も検討しなくてはいけません。
尚、B型インフルエンザの症状の特徴としては以下のような特徴が挙げられます。
B型インフルエンザの症状の特徴
☆胃炎
☆上気道炎
☆気管支炎
☆発熱(38度~40度近い熱が出ます)
☆さむけ・悪寒
☆ふるえ症状
☆咳
☆痰がからむ
☆頭痛
☆全身のだるさ・倦怠感
☆関節痛
☆筋肉痛
☆腰痛
☆体重の減少
上記の症状はインフルエンザにかかってしまった場合に現れる症状の一覧です。
症状はほぼA型の症状と同様ですが気管支系・消火器官系に炎症を起こしやすい傾向が確認されております。
難しいのはやはり風邪とほぼ同様の症状が見られる点。
一般的な風邪症状との大きな違いは、発熱が突然発症し急激に熱が上がったり強い悪寒やふるえが見られる点などがあげられます。
インフルエンザの診断基準では38度を超える発熱がひとつの条件です。
また、熱を持つことで強い関節痛や筋肉痛症状が感じられます。
~ポイントのまとめ~
★冬場~春先にかけて流行する
★症状は風邪症状と類似
★38度以上の発熱が見られるのが特徴
インフルエンザB型は、A型と比較すると感染の流行性がそれほど高くありません。
感染経路は全てヒトからヒトへの感染で粘膜や皮膜を通じる接触感染とくしゃみや咳などによる飛沫感染が主力です。
またウイルスの感染力はA型と同等レベルで非常に強い感染力を誇ります。
免疫保持者が多い可能性もありあまり目立たないというのが実情です。
また、自覚症状も通常の風邪と比較するとかなり強く感じられますが重症に至るケースもそれほど高くありません。
B型インフルエンザは、抗原の変化スピードがややゆっくりな傾向にあることからワクチンなどの免疫の持続性も比較的長期間持続します。
このような経緯もありB型が恐ろしいウイルスというイメージが影を潜めておりますが、インフルエンザウイルスの怖い点はウイルスそのものではなくウイルスの増殖速度にあります。
短時間で一気に数十万倍まで増殖するウイルスに対抗する為、免疫システムはフル稼働で戦い続けます。
しかし、その増殖スピードに負けない速さで戦い続ける免疫細胞や免疫細胞を作る造血器官もやがて徐々に疲弊していきます。
この状態は免疫力が低下している状態です。
血液検査の結果でもやはり大抵のケースで白血球数(WBC)の数値の低下が確認されます。
免疫力が低下した状態は他の様々な疾患を発症しやすい状態でもあり、合併症を引き起こす可能性が高いことも事実です。
強い免疫力を誇っている日常時では問題にならないウイルスや細菌の侵入によって肺炎や消化器系疾患、気管支炎を発症してしまうリスクが高まるのですね。
また、世界的には多くのB型ウイルスが毎年当たらし猛威を奮っております。
感染経路は渡り鳥や水鳥だけでなく世界的な交通機関の発達によって海外からのウイルス侵入が容易になった近年ではB型の流行頻度がもっと高くなる可能性もあります。
これはグローバル化に伴う社会の問題点のひとつとも言えそうですね。
~ポイントのまとめ~
★感染経路は接触感染と飛沫感染が主流
★感染力は強い!
★血液検査の結果では免疫の低下が見られる